みそパン千鶴子

2017年8月12日木曜日

「お父さん」
「なんだい?」
「俺、バイク欲しいんだよ」
「ダメだ! バイクなんか不良だ!」
「ダメって、俺、今年で22だよ?」
「ダメだ!」
「じゃあ、車買ってよ」
「荷車なら許す」
「そんなもん引いて女にモテるのかよ! ねえ? カノジョ。俺の大八車に乗らない? ってナンパするバカどこにいるんだ?」
「母さんに聞いてごらん」
「ええっ! ほんと? 母さん!」
「お父さん、そんな事してないでしょ」
「オヤジ! やっぱり、うそじゃねえかよ!」
「うそはついてないぞ。お母さんに聞いてみろとしか言ってない」
「まったく! なんだよ! てっきり母さんを大八車でナンパしたのかと思ったし!」
「お前、わかってないなあ」
「なにが?」
「大八車でハングオンやった事ないだろ」
「あるわけないだろ」
「バイクも大八車も腰で乗るんだよ」
「うそつけ!」
「ハングオーン!」
「あ! お、オヤジー!」
「首の骨折りました。これから死にます」
「お、オヤジー!」
「あとの事はまかせた」
「まかせるなー! オヤジー!」
「とにかく、死因は適当にごまかせ」
「そんなバカな死因、正直に話せるか! オヤジー!」
「それから、お前のお母さんはな」
「なんだよ、オヤジー!」
「あとの面倒は頼んだよ」
「ああ、母さんの面倒は俺が引き受ける。だから、死ぬなー!オヤジー!」
「お前のお母さんはな」
「なんだよ、オヤジー! 死ぬな―!」
「お前のお母さんは・・・」
「死ぬな―!」
「耳たぶを噛まれるとすげえ感じるんだよ」
「なんの世話させるつもりなんだ、オヤジー!」
「それから、バックから突くと屁が出る」
「早く死ね」
「はーい」