じい
2015年7月09日木曜日
「抜き足、差し足」
「お、ここだ、ここだ」
「差し足、抜き足」
「帰るな」
「こんな幽霊屋敷みたいなところで泥棒するの?」
「お前、初めてだっけか?」
「うん」
「泥棒というのはだなあ・・・」
「泥棒というのは?」
「棒に泥状のものが付着する!」
「えっ! ええっ! ま、まさか!」
「その、まさかだ」
「それじゃモーホじゃないか!」
「そんなわけないだろ」
「びっくりするじゃないか! 肛門になんか突っ込まれるのかとヒヤヒヤしたよ!」
「そんなわけないだろ。差し込まれるのはこっちだ」
「ギャアアアアア!」
「じょ、冗談だよ! そんな大声出したら泥棒できんだろ!」
「こんな幽霊屋敷みたいなところに誰もいないって!」
「ところがいるんだよ。死にかけの爺さん」
「ええ? 幽霊になっちゃってるんじゃないの?」
「いや、まだ寸前のはずだ」
「寸前?」
「ずっと寝たきりで介護も来なくなったんだけど、ため込んだゼニがたんまり」
「どこでその情報を?」
「俺の自慢の手相占い」
「ヒイイイイイイ!」