馬車にしないでよ

2009年9月13日日曜日

「ただいま〜」
「あら、お帰り」
「あのね、チコを散歩させてたらね・・・」
「そういえば、チコはどうしたの?」
「これから話す」
「そう」
「チコがウンコしたのね」
「うん」
「それ、駄洒落?」
「違うわよ」
「それで、シャベルですくって、ビニール袋に入れようとしたら、強風が吹いたの」
「へえ」
「そしたら、ウンコが落下!」
「ひっ・・・」
「どこに落ちたと思う?」
「ひょっとして、右足の、それは・・・」
「そう、ここにくっついたの」
「ウチに入っちゃダメ」
「え?」
「玄関からこっちに入っちゃダメ」
「そ、そんなあ・・・」
「いいえ、入っちゃダメ」
「お、お母さん!」
「ダメなものは、ダメ。親子の縁を切る」
「ひ、ひどい!」
「ひどくない! ない! でったいにイヤ!」
「じゃあ、アタシはどうするの?」
「そういえば、チコはどうしたの?」
「逆上して撲殺・・・」
「な、なんて酷い事を・・・」
「しようとしたら、逃げた」
「あら・・・ よかった・・・」
「チコとアタシと、どっちが大事なの?」
お金」
「ひ、ひぃいいい!」
「冗談よ、冗談」
「冗談ならいいけど、さっきのニヤリとした笑いはなに?」
「それは気のせい」
「それならいいけど」
「それから、そのズボンは捨てちゃいなさい」
「わかった」
「その場で脱げ」
「ここで?」
「もちろん」
「玄関の中でいいでしょ? ここだと通りからまる見え」
「俺を甘く見るな」
「お、お母さん、お、俺って・・・」
「冗談よ」
「冗談ばっかり・・・」
「その前に、ウンコつけたままで、チコを探して来なさい」
「どこ行ったかわからないよ」
「わからないじゃないわよ」
「そのうち戻ってくるって」
「戻ってくるかしら?」
「さあ・・・」
「さあ、じゃなくて、ウンコつけたままでチコを探して来なさい。きちんと、じょっぴんかるから」
「じょっぴん? いつから北海道出身に?」
「でれきでしっぱたくわよ」
「なんて言ったら、チコだわ・・・」
「あら、あら、チコ。チコちゃ〜ん」
「ワン、ワン」
「ああ・・・ よし、よし、よし」
「あれ? チコにもウンコついてるよ」
「チコはいいのよ、アタシが洗うから」
「それじゃ、アタシは犬以下?」
「もちろん、犬の方がかわいい!」

(キッパリ)

「な、なぜ? どうしてなの?」
「だって、技がすごい」
「なんの技じゃい」