餅すすり75

2009年7月18日土曜日

「広乃さん、なにこれ? このお茶。これじゃ飲めないじゃない」
「お母様、どうかなさいましたか?」
「どうかなさいましたかじゃないわよ。なんなの? このお茶」
「毒入り」

(キッパリ)

「あ、あなた・・・ あたしを殺す気?」
「ケヘッ! ばれちゃしょうがねえ。死んでもらうぜ!」
「ひ、ひぃいいい!」
「本当はどくだみ茶なの、お母様」
「そうなの・・・」
「さあ。召し上がれ」
「その、ニヤリとした笑いはなんなの?」
「それは誤解」
「本当に?」
「ええ」
「じゃあ、広乃さんから先に飲んでよ」
「それは死んじゃうから嫌です」
「は?」
「いいえ、なんでもありません」
「なんでもなくないわよ! 死んじゃうから嫌ですって?」
「そんな事言ってません」
「言いました!」
「言ってません!」
「言いました!」
「言ってないつってんだろ! コラ!」
「ひ、ひぃいいい!」
「それとも何か? 俺のお茶が飲めねえってのか? あん?」
「じゃあ、飲みます」
「飲め!」
「でも、毒が入ってるんでしょ?」
「ったりめえだろよ」
「そんな毒の入ったお茶なんか飲んだら死んじゃうでしょ?」
「ったりめえだろよ」
「あたしは死にたくない」
「俺もだ」
「って、広乃さん、男?」
「やん、アタシった、つい言葉が」
「んもぅ、広乃さんたら」
「あら、アタシ、喉が渇いちゃったワ。そのお茶いただけるかしら?」
「ええ」
「ゴクリ」
「あ」

バタッ

「広乃さん! 広乃さん! あら・・・ 死んじゃったわ・・・」
「勝手に殺すな!」
「ひ、ひぃいい!」