ぱやん

2002年04月23日火曜日

「もうすぐゴールデンウィークだね。」
「ああ。おそらく、日本ではそうだろう」
「ああ、ゴールデン・ウィークにどこか行きたいなあ・・・
オーストラリアは?」
「あそこは南半球だから、これから冬だ」
「じゃあ、ワイハは?」
「わいは?」
「ハワイ! お父さん知らないの?」
「ちゃんとした日本語を使いなさい」
「ハワイ行きたいなあ・・・
みんなハワイに行っているんだよ?
ゆみこも、ひとみも、ちえも・・・」
「なに言ってんだ?
ここは、ハワイじゃないか」
「は?」
「いや、だから、ここ、ハワイ」
「なんで?」
「だから、ハワイ。ここが」
「栃木県下都賀郡が」
「いや、違う。他のみんなはそうだが、これはいわゆるアインシュタイン効果で、私が下都賀郡ではなく、ハワイと認識しているから、空間がローレンツ収縮を起こして、ここだけハワイなのだ」
「それ、正気で言っているの?」
「うそ」
「なにくだらないうそついてんだか・・・」
「この不景気に海外旅行か?」
「そう。
テレビでも国民がお金使わないと駄目だって言ってるよ?」
「あいつら金銭感覚おかしいんだよ。平気で昼飯に三千円のランチメニューを紹介する」「でも、国内旅行するより安いんだよ?」
「土産で金かかるだろ?
マカデミアナッツとか、こけしとか、木彫りのニポポ像とか・・・」
「どこのハワイにニポポ像とこけしがあるわけ?
そんなの、ない! ない!」
「え? そうなの?
木彫りの熊も?」
「ない!ない!めんたいこだって、大きな王将の駒だってない!」
「じゃあ行かない」
「なんで!」
「知ってるだろ?
俺は大のニポポ像のファンなんだよ。
三度のメシよりニポポ像が好きで、朝もニポポ、昼もニポポ、夜もニポポで、寝るときはニポポがないと寝れないくらいなんだ。」
「本当にニポポ知ってんの?」
「ああ。もちろんだ。
ニポポを暖かい御飯の上にかけるとだなぁ・・・」
「木彫りの像って言ってたじゃん」
「そう!
そのとおり。
暖かい御飯の上にかけるととても食えたもんじゃない。
だから、お父さんニポポは嫌いだ」
「なに言ってんだか・・・
ハワイ行こうよ、ハ・ワ・イ」
「どうしてお前は、そんなにハワイに行きたいんだ?
そんなにハワイに行きたかったら、ハワイさんちの子供になりなさい!
もう、お前なんかとは、親でも子でもない!」
「なれないっつーの!」
「ハワイのどこがいいんだ?」
「みんな行ってんだよ?」
「みんなも行けば、お前も行くのか?
みんながこえだめに入って、「いーいゆっだっなっ! ははん」って歌いながらマット洗いしたら、お前もするのか?」
「それはしない」